朝クラ
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企業インタビューVol.2 森ビル株式会社様 「あらゆるシーンで音楽を提供し、街で文化を育てたい」

日本を代表する音楽の殿堂「サントリーホール」を有する文化の街・アークヒルズでは、毎年秋にアークヒルズや近隣施設などでさまざまな音楽イベントが開催される「ARK Hills Music Week(※1)」(以下、「Music Week」)を筆頭に、ホールの外でも楽しめる音楽プログラムが多数展開されています。

朝♪クラも2015年のMusic Weekでコンサートを提供したことに始まり、現在は毎週土曜日にアーク・カラヤン広場で開催されるヒルズマルシェとのコラボコンサート、ルーフガーデンでのコンサートなど様々な場面で音楽ステージを展開し、音楽提供の幅を広げさせていただいています。そんな森ビルのみなさんに、朝♪クラでこそできることや、今後の展望について伺いました。

 


 

-朝♪クラを知ったきっかけ、初めて朝♪クラとコンサートを企画した経緯について教えてください。

朝♪クラさんとの出会いは、2015年にアークヒルズカフェで休日の朝にクラシック音楽のイベントをされていたことを知ったことがきっかけです。

そしてコンサート企画において最初の機会となったのが、2015年のMusic Weekのアークヒルズサウスタワー内のレストランコンサートでした。当時竣工直後のビル内の商業店舗エリアでコンサートを開催するにあたり、初めての空間で、いったい誰に依頼しようかと考えていたところ、「朝♪クラにお願いしてみてはどうか」となり、お願いしました。

はじめてのオファーの結果は、お互いの思い違いもあり満足のいくものではなく…。クラシックのイベントというと、整えられたステージで、もともとクラシック音楽に興味があるお客様が演奏を聴きに自ら足を運んでくれるというタイプが多いと思います。一方私たちがオファーしたのは、普段はコンサートを行わない場所で、演奏しながらお客様の席を回り、ふだんクラシック音楽を聴かない人を巻き込んで楽しませる、いわば即興のエンタテイメントの要素を期待していたので、そこに齟齬があったのかもしれません。朝♪クラ初オファーにして厳しいレビューをお伝えした記憶があります(笑)。我々は音楽のプロではありませんが、「街で音楽を」というテーマを掲げるからには、空間や状況にあった音楽を提供することにこだわっています。

それから年々コンサートの質も向上され、今では年間を通じて様々なコンサートを提供していただく間柄になりました。

▲アーク・カラヤン広場のマルシェで開催している朝♪クラマルシェコンサートの様子

 

-朝♪クラとしても、森ビルさんのニーズに対応するべく改善やチャレンジを重ねてきた結果、様々なアーティストとのご縁を築くことができ、演奏の幅を広げることができています。

アークヒルズにあるサントリーホールでは日々、上質な音楽に触れる機会が多数提供されていますが、街にとって、ホールの中に音楽があることと、ホールの外の日常空間に音楽があることはやや意味が異なると思います。今や東京でも野外コンサートは以前に比べよく見かけるようになりましたが、実際に関わると、クラシックコンサートを野外で開催することはこんなに大変なことなのかと日々実感します。そこに舵を切ってクラシック音楽を日常空間に提供し続けている朝♪クラは稀有な存在だと思います。

▲ARK Hills Music Week 2018アークヒルズサウスタワーでのコンサートの様子

 

-都心で、ここまで文化が融合した街はなかなかないと思うのですが、森ビルさんとしていつから音楽や文化に注力されるようになったのでしょうか。

文化への注力という点でいえば、アークヒルズの開発がターニングポイントとなっています。日本で初めての、都心でオフィス・商業・文化・居住・ホテルなどの用途が融合した大規模複合再開発プロジェクトがアークヒルズです。その際、街で文化を育みたいという想いからサントリーホールが誕生しました。よってサントリーホールとアークヒルズはほぼ歴史を同じくして歩んでいます。

中でも、2011年から開催しているMusic Weekは、サントリーホールの中の音楽を外に開放し、街を音楽という文化でつなぐことに大きく貢献してきました。当時のサントリーホールの総支配人から“街に愛される音楽ホールを目指したい”というお話をいただき、森ビルとサントリーホールが協力して始まったのがMusic Weekです。我々も、音楽に限らず食や自然など様々な角度から街を豊かにしたいという想いでアークヒルズに関わっていますが、Music Weekを担当することを通して、年々音楽が好きになっていきます。

 

-Music Weekはまさに音楽が街に出ていく企画ですが、近年首都圏では年間を通じて様々な主催者によりクラシックの音楽祭が開催されていて、街への音楽の広がりを感じます。

街中の音楽といえば、2016年には、SOUND & CITYというイベントの中で実施した、ロンドン発のストリートピアノ企画「Play me, I’m Yours(※3)」も非常に面白い試みでした。一般家庭に眠っている思い出のピアノを、アーティストのペイントによってよみがえらせ、アーク・カラヤン広場に一定期間設置して自由に弾いてもらうという企画でした。

▲Sound & City(2016)にて開催した「Play me, I’m Yours」の様子

 

-朝♪クラがかかわったことで、アークヒルズの音楽シーンにどのような影響がありましたか?

カフェやオフィスロビーにとどまらず、マルシェでのコンサート、アーク・カラヤン広場のステージで行うMusic Weekのコンサート、レジデンスの新春交流会でのコンサートなど、様々な空間や時間帯、規模に柔軟に対応いただけるので、音楽を提供する場のバリエーションが広がったと感じています。

特にルーフガーデンでのコンサートには非常に感謝しています。アークヒルズにとって自然は非常に重要な要素で、緑あふれるガーデンをどう活かし、街の人々に開かれた場にしていくかということを常に考えていますが、コンサートを行うにも、屋外で、機材を持ち込むための台車も入れない、電源も限られるという空間のため運営に苦労していました。しかし今では、朝♪クラさん企画で春の「アークヒルズ さくらまつり」や、秋のMusic Weekなどのガーデンコンサートが定番化するまでになりました。

朝♪クラさんであれば企画・提案から、コンサート当日の運営を含め、お客様に音楽を届けるところまで、必ずやり切ってもらえるという安心感があります。

▲ルーフガーデンでのコンサートの様子。

 

-朝♪クラとしても、様々なステージを与えていただいて感謝しています。今後どのように音楽を展開していきたいとお考えでしょうか。

アークヒルズを担当するようになってから一貫して、日常に上質な音楽がある風景を作りたいと考えてきました。今後もレストランやカフェなどのコンサートを展開し、演奏家と一般の方の交流が生まれ、共に音楽を楽しめるような場を作りたいと考えています。またアークヒルズでは妊婦さんや赤ちゃんを連れたご家族の方が訪れる姿をよく見かけます。野外のコンサートであれば、小さなお子様が泣いたり走り回ったりすることも気にせず気軽に演奏を楽しめますし、ファミリーに向けたコンサートももっと提供できればと考えています。

 

-ぜひ、これからもいろんな音楽シーンを一緒に創っていければと思います。どうもありがとうございました!

 

朝♪クラコンサート実績

2015年10月        アークヒルズ音楽週間にてコンサート初提供。

2016年4月          アーク・カラヤン広場にて「Play me, I’m Yours」企画を日本で初開催。

同4月~                将来を担う若手演奏家の音楽を届けるというテーマのもと、土曜開催のマルシェにて「Asa-Kura Futures Concert」のマンスリー開催を開始。

2017年~            「木とあそぼう森をかんがえよう」にてコンサートを提供開始。

2017年10月        アークヒルズ音楽週間にてコンサートを提供。

2018年~              アークヒルズ さくらまつりにてコンサートを提供。

2018年10月        ARK Hills Music Weekにてコンサートを提供。

 

注釈

※1 ARK Hills Music Weekについて…毎年10月ごろアークヒルズエリア全体で約1週間にわたって行われる音楽祭。2017年までは「アークヒルズ音楽週間」の名前で展開。

※2 アークヒルズカフェ…アーク・カラヤン広場に位置するカフェ・レストラン。

※3 Play me, I’m Yours…2008 年より世界を巡回しているストリートピアノプロジェクト。英国のアーティストであるルーク・ジェラムの作品。’Play me, I’m Yours’のメッセージとともにピアノが装飾され、誰もが弾いて楽しめるよう公園や通りなど公共の場所に設置される。